村上彩コラム 第7回「ブライス・ミッチェルVSクロン・グレイシーの試合の感想」
村上彩コラム 第7回「ブライス・ミッチェルVSクロン・グレイシーの試合の感想」
女子柔術家・月イチコラム
皆さんこんにちは。
柔術黒帯、DEEP 第2代 女子ミクロ級チャンピオンの村上彩です。
先日、UFC310があって、みんなパントージャVS朝倉海を注目してたと思うんですが、私は柔術家かつMMAではグラップラーになるので柔術家からの目線とMMAファイターとしての目線で、ブライス・ミッチェルVSクロン・グレイシーの試合の感想とかよかった良くなかったとこを書きたいと思います。
ミッチェルもグレイシーも両方すごいトップレベルのグラップラー、柔術家なんですが、ミッチェルはアマチュアの頃から一本勝ちを量産しててUFCでも結構一本勝ちしてますよね。
対するクロン・グレイシーは誰でも知ってる超強い柔術家柔術黒帯世界王者で、日本人とも結構やってて青木真也選手とかに勝ってたりしますね。
半端ない強いお二人なんですが結果はブライス・ミッチェルの3R・TKO勝ちでした。
私の感想を書きたいと思います。
まず1Rお互い見合ってました。
見合ってて言うのは、打撃からじゃなくてクローズドからでも見合ってる展開があったんですね。
ていうか、もう初手からクロン引き込んだんですね。
クロン・グレイシーは下からのサブミッションに自信があったんだろうなって思います。
通常MMA って下を選択することあんまりないんですよね。
サブミッション取れればいいんですけど取れなかった時すごい不利なんで、あんまり下を初手から選択するのはあんまないかなと思うんですよね。
でもそこを選択したことはクロングレイシーすごいそこに自信があったと思うんですよ。
お互い寝技できるんで技のどれぐらいかけられるかの探り合いをお互いしてたと思うんですよね。
ミッチェルもそのクローズドガードに対してのエスケープがすごいうまくて。
通常クローズガードってトップの人がこう左右に振られると腕とかを取られやすいんですね。
でもちゃんとミッチェルはクロングレイシーの真正面にいて、かつクロンの頭を抱えて抱えながら肘を胸の真ん中に置いてたんです。
と、いうことはクロングレイシーは起き上がれないんです。
頭を抱えられてるから左右にも動きにくいみたいな場面があったり、手首を持ってミッチェルはこう相手の動きを封じたりしてました。
一応クロンもコテを巻いていたと思うんです。
「かんぬき」の形ですね。
でもやっぱミッチェルのベースが強いのか、しっかり対処できてましたよね。
途中クロンがちょっとひよった、弱気になっちゃった場面があったんですよ。
これをグラップラーあるあるだと思うんですけど、打撃でひよることがあると思います。
でもそこを一瞬ひよったけど立て直してやっぱ組みで前にどんどん行こうっていう姿勢は本当にやっぱ気持ち強いなと思いました。
あそこでやっぱひよってこうなって壁詰められてボコボコにされると止められちゃったり、印象もすごく良くないんですよね。
でもちゃんとクロンはもう一回前行ってクローズと自分のやりたいことを貫くっていうのは素晴らしいと思いました。
その後も2Rの後半の方でクロンがうまくミッチェルを左右に動かして腕十字がすごい極まりそうなとこまで行ったんですよね。
入ってたんで決まるかなって思ったんですけどうまくずらしたんでしょうね。
その後、バック回られてパウンドとかを打たれてましたね。
これは私の意見なんですけど、本当は1R目でクローズドからうまく作れなかった場合は、やっぱ2R目は作戦を変えるべきだと思うんですよね。
テイクダウンに行くとか、壁にいくとかスイープするとかやるべきだと思うんですよ。
でもクロンはずっとクローズドガードからのサブミッションを狙ってたんですよ。
しかもパウンドとかも入れてなかったんですよね。
パウンドで散らして相手をずらして下からサブミッションに行くっていうのが下からやるんだったらいいと思います。
1ラウンドが取られてるか取られてないかわからない時はやっぱ明確に2Rと取りたいじゃないですか。
ってなるとやっぱテイク取って、トップポジションがやっぱMMAはいいと思う。
柔術は別にあれで問題ないと思います。
下からのクローズドガードでサブミッションとかを狙い続けるのは攻めてるんで、あれが柔術だったらミッチェルは守ってるだけなんですよね。
作られてはないかもしんないけど守ってるし、もしサブミッション決まらなかったとしてもアドバンテージを取られるから、
柔術の対処はあれでクロンが正解ですよね。
決着がついた3R目なんですけど、ミッチェルがスラムしたんですよ。
ミッチェルは狙ってたか狙ってないかはわからんないけど、クローズに入ってきたクロンに対して頭を剥がしてスラムドーンってやったんですよ。
その後にミッチェルが肘を入れてTKO勝ちしました。
スラムは柔術は反則なんで柔術家ではまやる人はいない。
でもUFCとかMMAでは特に反則ではないんですね。
だからちょっとびっくりした、っていうのもあると思います。
MMAの選手がもしグラップラーとやってクローズドがなかなか解けない場合は、やっぱスラムをやるのが結構一番いいと思うんですよね。
なかなかクローズドって外れないじゃないですか。
でも胸張ってたってスラムって柔術家からすると結構びっくりするんですよね。
ミッチェルがすごい対応良かったかなと思います。
全体的なまとめの感想としてはやっぱりMMAをやってる選手と柔術をやってる選手でこういう風に明確な差が出るっていうのが、やっぱUFCの面白いところではあるかなと思います。
クロンってすっごいプロフェッショナルなわけなんですよね。
もうトップのトップじゃないですか。
そんなプロフェッショナルの寝技師がUFC行ってもこういう風に負けちゃうっていうのは、やっぱ競技が違うからだと思うんですよ。
MMAをやってたミッチェル、柔術をやってたグレイシー。
やっぱりグレイシーはMMAをやるべきですよね。
私はそう思います。
UFCの選手とかは全部できるんですよ。
やっぱりMMAだから全部やんないとダメなんですよ。
別にサブミッション取れとかKOをしろとかそこまで言わんけど、対処ができるようにならないとやっぱり印象が悪いですよね。
自分で思ってる試合の運び方、運べてるって思ってても客観的に見たら全然運べてないみたいなのがあるじゃないですか。
そういうのがあるからMMAをやってそれの対処攻め方をやるべきかなと思いましたね。
クロン・グレイシーもめちゃめちゃ強いけど、それに勝ったブライスミッチェルはもっと強くて、そのブライス・ミッチェルに勝ってるイリア・トプリアっていうのはめちゃくちゃ強いです。
そんな風に思いました。