グラップリングでピラミッドを形成、高橋SUBのLevel-G構想
グラップリングでピラミッドを形成、高橋SUBのLevel-G構想
Level-G
3月3日(日)「KROSS×OVER-EXTRA.5-」において、グラップリングイベント「Level-G」のプロマッチが行われる。
同日のアマチュア大会にも、名立たる選手らが出場するなど、活動約1年半で存在感を増している「Level-G」の現状や今後の展望について、同イベントのプロデューサーを務める高橋"SUBMISSION"雄己に話を訊いた。
――Jiu Jitsu NERDのユーザには、Level-Gのことを詳しく知らない方も多いのではないかと思います。まず、Level-Gはどういうイベントなのでしょうか?
Level-G はサブミッションオンリーのルールで行われるグラップリングリーグです。
MMAやブラジリアン柔術では既に成立しているような、初心者から日本のトップへ繋がる競技ピラミッドの形成をビジョンに、僕と格闘技団体KROSS×OVER様とで発足させました。
――なぜ、KROSS×OVERとのアライアンスだったのでしょうか?
KROSS×OVERは、埼玉の地元から日本のトップ戦線や世界で活躍する選手を輩出することをビジョンに活動されているMMAとキックボクシングの団体です。
自分の作りたい日本のグラップリング界のビジョンと理念が近かったために協働させて頂くこととなりました。Level-Gと別の名を冠してはいますが、運営体制としてはKROSS×OVERのグラップリング部門という位置付けです。
――その中で、高橋さんはどのように携わっているのでしょうか?
自分の役割は、マッチメイクやメディア、SNSへの広報など対外向けの発信や折衝が主です。
かく言う自分もMMA出身で、グラップリングのキャリアは横入りした形で始めたのですが…。
MMAやブラジリアン柔術の実績がなくとも、初心者からグラップリングを習い始めて、グラップリングの試合に出て、その実績で日本のトップ選手と戦えるようになり、やがて世界へ、というピラミッドを築くことが、競技の裾野を広げることに繋がると考えています。
――なるほど、そういうことだったのですね。では、改めてLevel-Gは、他のグラップリングイベントと何が違うのでしょうか?
アマチュア~国内トップに繋がるピラミッドの形成を意識している点だと思います。
延いてはこのピラミッドを、世界まで繋げていきたいです。
そこを意識しているので、むしろルール的には出来る限り周りと同じものにしようとしていて。
アマチュアの中級クラス以上はPolarisやWNO等の海外のトップリーグと同じルールにしてあります。勿論、試合時間などは短くしてあったりしますが。
違いを出そうというより、世界の標準のグラップリングを日本でも初心者から親しめるようにしたいという気持ちでやっています。
――2022年11月にスタートしたLevel-Gですが、この1年半ほどの間にプロ3大会、アマチュア4大会を開催しています。どのような手応え、あるいは課題がありますか?
グラップリングは、やはり本質Doスポーツだと考えているので、アマチュア大会をコンスタントに開催していくことが業界の発展に繋がると考えています。
アマチュア大会は現状ストレスなく収益化できているのですが、このあたりにグラップリングにDoスポーツとしての需要があるという手応えを感じます。
反面で、やはりプロスポーツとしてマネタイズを成立させていく点に難しさを感じています。日本の格闘技ファンの方々に「敢えてPPV買ってでも観たい!」と思わせるグラップリングの在り方を考えることが、今後向き合わなければならない最大の課題です。
――3月3日の大会についても教えてください。「KROSS×OVER-EXTRA.5-」の中でLevel-Gのプロマッチが2試合組まれています。まずは、室谷勇汰vs高本裕和の一戦について、マッチメイクした意図と見所を教えてください。
まず、室谷選手vs高本選手ですが、この試合はアマチュアで成績を残した室谷選手のプロ抜擢戦になります。MMAや柔術を経ずとも、グラップリングだけのキャリアでキャリアアップしていける土台を作ることがLevel-Gの大きな目標ですが、これは正にその体現をすべく組んだ試合です。
――そういうことなのですね。
アマチュアを経てプロマッチに辿り着いた室谷選手が、日本を代表する黒帯柔術家である高本裕和選手に挑みます。
室谷選手はRIZINでタイトル戦を控える超本物志向の金原正徳選手の推薦選手です。その室谷選手が如何に高本裕和選手に喰らいつくのかが見所です。
――そして、峯岸零弥vs竹内稔戦。注目の一番ですね。
竹内選手vs峯岸選手ですが、言わずもがなのガチガチのトップ選手対決を組みたかったのでこのカードとなりました。
ADCCトライアルで、決勝で敗れはしたものの必殺のアナコンダで大活躍を見せたばかりの竹内選手と、6月に行われたLevel-G王座決定トーナメントで、竹内選手も敗退する中、決勝まで辿り着いた峯岸選手の激突です。
竹内選手はアナコンダチョーク、峯岸選手はクローズからの三角や十字が共に必殺の威力を持っています。どちらの必殺技がかかるのかが注目です。
超個人的には、かからなかった場合にお2人が判定アリのサブオンリーのルールをどう解釈してどう勝ちに行くのかが楽しみですが。これはニッチな楽しみ方かも知れません(笑)
――ありがとうございます。また、同日のアマチュア大会のカードを見ると、ブラジリアン柔術黒帯の選手達だったり、プロフェッショナル修斗にも出ている伊集龍皇選手、大ベテラン・村田卓実選手といった名前があったりするのですが、アマチュアとプロの線引きはどのようにされているのでしょうか?
プロマッチはこちらからお声がけして成立したもので組んでいます。対して、参加費を払って自主的にお申込みをされている試合は、全てアマチュアとして区分して行います。
同日のプロの部で組まれていない強い選手や実際に出場したことのある選手が、自身の研鑽のためにアマチュアに自らご参戦いただくのは大歓迎です。
試合の宣伝やチケット、スポンサーのことなどを気にせずに試合をして技術の向上に活かしたいという需要に応えるのもアマチュア大会の大切な役割だと考えています。
――そういう側面もあるのですね。しかし、注目選手が沢山いるので、アマチュア大会も見逃せませんね。
さすがに、万が一プロマッチ出場歴のある選手が初級や中級クラスでお申込みされていたらカテゴリの変更をお願いするかと思いますが…。ビギナーの方にも、ご自身のレベルに合わせたグラップリングに挑戦していただける場を作る事が大切なので。
逆に競技歴が浅い方でも、Level-Gのアマチュア大会の上級クラスで成績を残していけば、プロマッチやプロ参戦トライアウトへお声がけさせて頂きます。
競技ピラミッドの形成という点でアマチュアからの才能のピックアップには、常に意識を向けていきたいです。
――最後に2024年はLevel-Gをどうしていきたいか。大会後の展望があれば教えてください。
KROSS×OVERのMMAの大会内に挟み込む形でプロマッチを行うのですが、昨年同様6月大会は全試合グラップリングのみの興行を行います。
ここで日本の格闘技ファンの皆様の琴線に触れるカードを用意すること。ピラミッドを世界に繋げるべく日本のトップ選手がキャリアアップ出来るようなカードを組むこと。これらが当面の目標になるかと思います。
――6月にグラップリングオンリーの興行とは楽しみですね。期待しております。本日はありがとうございました。