石黒翔也、ONEデビュー戦は「想定通りでは全くなかった」
石黒翔也、ONEデビュー戦は「想定通りでは全くなかった」
ONEフライデーファイツ55
3月15日(金)、タイ・バンコクのルンピニースタジアムで開催された「ONE Friday Fights 55」で行われた石黒翔也(カルペディエム三田)と寒河江寿泰(今成柔術/トイカツ道場)によるバンタム級サブミッショングラップリングマッチは、ノンストップバトルの末に石黒が判定勝ち。
カニバサミを起点とした怒涛の足関やパスガードの畳みかけなど、終始攻め続けた石黒だったが、その試合は「想定通りではなかった」という。ONEデビュー戦直後の石黒に話を訊いた。
――勝利おめでとうございます。試合はノンストップで攻め続け、完勝という内容でした。ご自身では、どのような感想を持っていますか?
試合自体は危ないように見えた足関節とかも大事なポイントをずらしていて、マウントも取って自分が足関節で攻める場面も多かったので普通に見たら完勝という感じだったと思います。
でも、ONEのルールで"キャッチ"っていう「サブミッションが惜しい」みたいな、それを取られてしまうといくら自分がアタックしていても判定で負けちゃうんですよね。
ONEのルール上でいうと判定3-0で勝ったものの、1回でも足関節に入られたりしたら負けていた可能性があるので、そういう意味では完勝ではないと思っています。でも、自分が上になった時も下になった時も攻め続けることができたので、すごい良かったなと思います。
――カニバサミを多用していましたが、これは狙っていたのでしょうか?
カニバサミは今日使うことを決めました。もともと面白い試合をしようと考えていたんですが、寒河江さんが立ったシチュエーションになった時に自分が引き込んでもいいっていうのは、ルールミーティングで言われて。でも、引き込んでも下からどんどんアタックしていかないといけないとも言われたんですね。
座ってそこから前に前に行ったとしても、相手が下がっちゃうと面白くない試合になると思って、それだったらカニバサミを使って会場を沸かせようと思って。
ぶっちゃけ、試合の30分前くらいのウォームアップで、竹浦(正起)さんに(カニバサミはケガのリスクが高いため)危ないので3回くらいかけさせてもらって使いました。
実際、試合ではビックリ技というか、会場を沸かせるために1回くらい使おうと思ってたんですけど、試合始まって僕がガードに引き込んだ時に審判から「立て」と言われて、結局引き込みがダメだったみたいなんですよね。
で、引き込めないってことは、飛びつきで極めにいくか、投げるか、カニバサミみたいな技を使うしかないんですよね。テイクダウンの練習はしてこなかったのでないとして、飛びつき三角も相手の顔が高かったので難しいと思って、結果的にカニバサミを使う場面が多かったです。
――パスガードのコンビネーションやマウント奪取の流れが圧巻でした。相手の動きに合わせた左右の切り返しやポジションの詰め方。キャンピングポジションなども混ぜていましたが、何か技術的なポイントがあれば教えてください。
自分の試合をアーカイブで観ていないのでちゃんと解説できるか分からないんですけど、左右の切り返しに相手が付いてきていないのを感じたので、それを行うことで相手を疲れさせて。極めを狙っていたので、どこか疲れたタイミングで抑え込んで極めようと。
あそこのパスガードの動きは、ほぼ疲れさせるために左右の切り返しをしていました。キャンピングポジションとかも使ってましたけど、でも、そこからヒールフックにいくような考えは全然なくて単純にパスガードのコンボとして使ってました。
パスはノースサウスの上にいく動きを混ぜたかったんですけど、フレームとかKガードのプレッシャーが強くて、足の近くで左右に切り返すことしかできなかったので、結果的にはよかったんですけど、もう少しプレッシャーパスを混ぜてもよかったかなと思いました。
――寒河江選手の動きで警戒していたことはありましたか?
寒河江選手のKガード、足を取る動きと腕を取る動き、チョイバーは警戒していましたね。
実際には、Kガードに入られて、足関節も50/50になる場面があったので、そこは警戒しててもかかるようなすごい技術だと思いました、やってて。
で、入られても普段足関節の上手い選手と練習しているので大丈夫かなっていうのはあったんですけど、入られて踵をキャッチされてサブミッションに近づくと自分が負ける可能性もあったので、警戒して動いていました。
――全体的にはどの程度、ご自身の思惑通りの試合展開になったのでしょうか?
ルールが直前というか、試合が始まってから自分の想定していたものと違ったので、ぶっちゃけ、思惑通りにはならなかったですね。
僕が下で引き込んで寒河江選手が上からアタックしてっていう場面と、寒河江選手が引き込んで僕が上からっていう2つしか想像してなかったんですけど、結果的に立ちが多かった。引き込むのがダメになっちゃったから立ちが多くなっちゃって、想定通りでは全くなかったですね。
――Xでは、IBJJF 世界選手権(ムンジアル)の出場ポイントに手が届きそうだという投稿もありましたが、次戦はどのようになりそうでしょうか?
柔術の世界大会のポイントが40何ポイントかあって、今年のムンジアルは、60何ポイントかで出れるみたいなんですね。それを黒帯になって1回も出れてないので頑張って取りたいなっていうのはあります。
予定しているのは、4月末にどこか海外遠征に行って勝てれば出場権を取れるので、そこからムンジアルに出るというのは一つの目標ではあります。
ただ、今回のONEの試合が良かったと関係者の人に思われたりして、「すぐ試合してくれ」ってなった場合にそこは判断が難しいですね。
グラップリングと柔術は違いますし、練習はどちらかにフォーカスしたいっていうのはあるので、その時の状況次第で変えるかもしれないですね。
もちろん、黒帯のムンジアルに出るのは大事なんですけど、今年も6月末にアジア選手権があって、そこで勝てれば世界大会には行けるので、今年じゃないと最後っていう感じはしていないですね。行けるなら行きたいっていう感じで、他のオファーがあったら、そっちを取るかもしれないです。
――今後の目標などもあれば教えてください。
ONEに今回出てみて、色んな人の目に触れて色んな人に知ってもらえて、全然繋がってなかった人からも連絡があったり、こちらの現地で繋がったこととかもあったので、すごいONEに対しては感謝してて、今後ONEで戦えるなら戦っていきたいと思ってるんですね。
ONEで戦える日本人っていうのは、グラップリングの選手の中では少ないと思うし、すごい大きい団体なので、自分の生徒さんとかにも自分が出ることによって勇気を与えられたりするのかなとも思っているので、ONEが決まればONEの大会にどんどん出て最終的にはマイキーと戦いたいですね。
で、柔術は、4月にアジア王者の森戸選手と無差別級で戦う(情熱柔術ファイト)ので、そこでしっかり勝って、次に繋げていきたいと思ってますし、今年はNo-giワールドにも多分出れるので、そっちももう一度挑戦したいと思っています。
――試合直後のお疲れの中、ありがとうございました。今後の活躍、期待しています!
・石黒翔也の技術が学べる「SHOYA ONLINE」をチェック!
・石黒翔也 Instagram / X
Photo by (C) ONE Championship