前澤智コラム「前"さわ"智です」第1回「MMAから寝技師へ」
前澤智コラム「前"さわ"智です」第1回「MMAから寝技師へ」
女子柔術家・月イチコラム
はじめましてとそうではない方々へ、私は前澤智と申します。
よくマエザワ、と言われますが、マエサワです。女子総合格闘技のDEEP JEWELSという団体でアトム級(47.6kg)の第6代チャンピオンで、2020年、2度目の防衛戦を引退試合とし格闘技競技人生を終えました。
と、思っていたのですがインストラクター業をしていく中、ブラジリアン柔術やグラップリングの試合のオファーがきます。
いち格闘技人生を終えた私にオファーがくる要因として考えられるのは、寝技主戦場の女子選手の不足(もしくは強い方ほどシャイでプロ興行に出たがらない? だって練習会行くと強い人たくさんいますよ!!)ではないでしょうか。
かく言う私も、総合格闘技現役時代は、ピュア柔術ではなくMMA柔術のみで「ボトム?なにそれ、殴られちゃうから上乗って潰したい!」状態。
MMAー打撃=グラップリング
グラップリング+道着=柔術
こんな方程式だった私ですが、突き詰めて行くと全然違いました。
グラップリングは"グラップリング"だし
ブラジリアン柔術は"ブラジリアン柔術"です。
先日12月15日(日)新宿FACEにて、修斗の女子総合格闘技興行「COLORS」が行われました。今回の出場でどうやら3回目(引退したよね私?)
「対戦相手は藤野恵美さんですが、どうか?」という打診がありました。
11月にブラジリアン柔術のDEEP杯を終えたばかりで、今年の年末はADCC東京オープンに向けて過ごそう、そう思った矢先でした。
藤野さんは、パンクラスストロー級・第3代チャンピオン、更に修斗ストロー級初代チャンピオンであり、国内女子総合格闘技界で最も有名な選手のひとりです。
自分を過大評価するならば、闘わせてもらえるのは、まだ自分に選手としての需要や商品価値があってのことでしょうか。ベルトを獲ると強い人と闘わせてもらえる権利を得られます。純粋に体重さえ合えばやりたいと思いました。
今年は去年と比べ、試合数は少なかったものの、練習をこなす中で「40歳まで寝技の世界で頑張りたいな」そう思うようになっていました。この決意についてはちょもTubeを見て頂きたいです。
YouTubeを始めよう、スポンサーを募りコスチュームを作ろう。体調を崩したりもありましたが、試合に向けて急ピッチで仕上げました。計量日が近づくにつれ、ピリピリ感、いらいら感にも似た闘争心が毎日滲みでてくる感覚。勝っても負けても全力を出したい。悔いなく闘いたい。その思いでした。
結果はドロー、、、。ルール上判定が無い8分1Rだった為です。1番しょっぱい。。。
何も言い訳はありません。極めきれなかったのが悪いのです。惜しい部分もあった!そう言ってくれる仲間、観客の方々もいましたが、ここ最近で一番ノーギ寄りに練習を重ねていた、気持ちも時間も体も費やした結果、こんなに自分は弱いのか、、
藤野さんには、格闘技を続けている現役の"強さ"、最前線で闘っている"強さ"があった気がします。
もっと、、ああしてたらこうしてたら、、
そういうたらればが尽きないけど、1日泣いて翌日から練習できるくらいまでには大人になりました。昔はよく過去を引きずって立ち上がるのに時間がかかるタイプでしたが、練習するしかない、研究するしかない、ミドル世代の私には時間がない。
MMAファイターから寝技師としての脱皮、進化途中かなと、現在を分析しています。昔は打投極のオールマイティさ、スタンドもグラウンドも満遍なく、バランスの良さの円グラフを丸に近づけないと!の一心でしたが、今は寝技の専門性に集中して、自分の得意不得意を見つめ改善しています。
柔術プリーストや欽也さんの取材、YouTube撮影の裏を見ていると柔術やグラップリングに対しての、理解度の深さと広さ、選手の歴史、それに加えて"自分はこう!"という芯があります。
専門分野を強くなるにはマニアにならないと!と今は学びの日々です。
次は1/18のADCC東京オープンです。それまでにはしっかりと脱皮を完成させて、闘える心と身体づくりに年末年始を費やします。引き続き、前澤智(まえさわとも)をお見守りください。
前澤智(まえさわ・とも)
リバーサルジム東京スタンドアウト所属