"戦うIT社長"に訊く、キッズの盛り上がりと育成論 其の三
Kids Training Theory
Jiu Jitsu NERDでは、有識者とともに「キッズ柔術の在り方」を考えるインタビューを実施。第一弾は、MMA選手時代の愛称"闘うIT社長"でお馴染み、ブラジリアン柔術黒帯・伊藤健一さんのインタビューを全3回に渡ってお届けしている。
最終回となる今回は、子供の習い事で必須といえる親御さんとのコミュニケーションについて語ってもらった。
――キッズの習い事といえば、親御さんの存在が欠かせませんが、親御さんとのコミュニケーションはどのように考えてましたか?
伊藤:会員を増やすって部分だけを考えれば、親とのやり取りが一番大事だと思います。僕が入る前のインストラクターは、それがほとんどできてなかったので会員も少なかったです(笑)
――これは非常に難しい問題ですよね。若いインストラクターであればなおさら、どこまで踏み込んで会話すれば良いかもわからないでしょうし。
伊藤:その前提として、まず親御さんに理解して頂きたいのは、基本、道場は教育の場ではなく、単に会費を払って柔術を習う場所であるということですよね。
色々勘違いしちゃうのは仕方ないんですよね。例えばホームページや広告でも、「武道は子供の心も鍛える」とか書いちゃいますし。でも、ブラジリアン柔術道場って実際は、教育の場ではないし、武道とかではないじゃないですか。
パンキッズで、レフェリーにクレームを言って生徒を無理やり勝たせようとする海外の大物指導者の姿も何回も見てますし(笑)。どんなスポーツでも、汚い部分は色々あります。
――普段のクラス指導以外にも、インストラクターが気をつけることはどんなことでしょうか?
伊藤:東京の話になってしまいますが、港区だとお金持ちの子供さんとかもいるんですね。インストラクターも、プライベートレッスンを受けてもらったりしていると、どうしても贔屓しちゃうんです。
でも、それは他の親御さんたちが目を光らせていて、ママたちの連絡網は凄いので、一瞬で広まります(汗)。大きな視点で見ることができれば、特定の子供を贔屓するっていうのは、結果的に自分が損することになることを理解するべきですね。
――それでクレームとかもあるのですか?
伊藤:「◯◯先生は、あの子だけに特別な技を教えて贔屓してる」とクレームがきたことがあります。まあ柔術やってたら特別な技なんてのはないのはわかりますよね。逆に僕が教えて欲しいくらい(苦笑)。
親御さんたちも子供の習い事を少しは勉強するべきだし、インストラクターも贔屓と見られないように最大限に気をつけて行動するべきです。
あ、今思い出したけど、親御さんたちがうるさそうだなと思って、マットと見学スペースの間に壁を作ったんだ(笑)。
――ハハハ(笑)流石ですね。しかし、仲が良い家族とかが出来てくるのは自然といえば自然ですし、難しい部分ではありますよね。
伊藤:人間ですので、プライベートで仲良くなるのはしょうがないと思います。しかしインストラクターであれば、クラスの時間だけは、ちゃんと誰も贔屓せず、柔術を教えることだけをしていれば、基本文句を言われることはないと思います。あと親御さんたちも、ただ柔術だけを教える場所ってことだけを理解してくれれば、それで十分だと思います。
――どの習い事にも共通するというか、シンプルな考え方ですね。では、今の日本のキッズ柔術シーンはどう感じてますか?
伊藤:最近は現場には行ってなくて、SNSを眺めてるだけですが、参加者も増えて盛り上がってて、この中からアダルト黒帯世界王者が出ると確信してます。
あと、CARPE DIEM 三田道場の竹浦正起代表は、僕では絶対できない色んな動きをしていて素晴らしいと思います。三田キッズは、さらに盛況になると思いますよ。
――今日は貴重なお話をありがとうございました。せっかくなので、何か告知などはありますか?
伊藤:今、格闘技の分析などを行うYouTubeチャンネル「TOKYO FIGHTING CHAMPIONSHIP」を始めたので、皆様、チャンネル登録やいいね!をどしどしお待ちしております!