前澤智コラム「前"さわ"智です」第4回「出会いに感謝」
前澤智コラム「前"さわ"智です」第4回「出会いに感謝」
女子柔術家・月イチコラム

3月は出会いと別れの季節です。
変わるものが無い世界なので、その変化に柔軟に、臨機応変に、対応していかないといけません。
ジムでインストラクターをしていると、この月は退会届を書きに来る方が多いです。
お別れや環境の変化が得意では無いので、とても辛いです。
理由は様々です。
引越し、仕事が忙しくて、家庭の事情で、、
3月23日は女子総合格闘技の興行『DEEP JEWELS』が行われました。わたしは教え子の堀井かりん選手のセコンドでした。
彼女にはお子さんが3人いて、子育て、家事、仕事、そして練習をこなすママさんファイターです。
初めての出会いはリバーサルジム東京スタンドアウト麹町店。引退後、インストラクター復帰し少し経った頃でした。
2回目の出会いは練習会先、3回目は新しく働き始めたパラエストラ拝島。この間3年くらいでしょうか。
初めて出会った頃は、私がかりんちゃんのセコンドにつくだなんて想像していませんでした。
私が現役時代にインタビューで言っていたことがあるのですが、自分にできないことをやってる人をとても尊敬している、ということ。
特に、子どもを産み、育てている方を尊敬しています。
「総合教えて欲しい」と言われた時に自然と『助けになりたい!』そう思いました。引退してからMMAはやる気も教える気もありませんでしたが、かりんちゃんの為なら練習相手くらいには、、そう思いました。
理由は、彼女はリングだけではなく、母親として、社会人として、女性として、たくさんのリングで闘っているファイターだからです。
引退試合の挨拶で、私は「これからは人生という戦いの場で時にファイターとして、時に誰かのセコンドとして生きていこうと思う」とマイクしました。
まさか本当にセコンドになろうとは。
「誰かの役に立ちたい、格闘技を楽しんで欲しい」
そういう気持ちで過ごしています。

空手をやっていた堀井かりん選手。特にミドルの破壊力に磨きをかけて臨んだ。

課題の寝技。セコンドの私の声にしっかり反応してエスケープしようとしていた。これから強化していってあげたい。
昔、所属していたジムの話です。
会員さんがジムを辞める時に、退会届を記入しに来たのですが、泣いてしまい困らせたことがありました。
たくさん試合に出て、頑張っていた熱心な会員さんでした。練習もたくさんしていて、もうそろそろ青帯だね、とそんな時でした。
多分ですが、その時その方は格闘技をイヤになっていたんだと思います。
そのジムを辞めた会員さんが、今いるジムに新規の会員さんとして現れた時は驚きました!
久しぶりに会ったその人は「やっぱり柔術またやってみようかなと思いまして」と。
格闘技は人をつなぐんだ!
ジムはそういう場所なんだ!
そういう気持ちです。だから職場が大好きです。
格闘技の世界はとても狭く、循環しているとでも言いましょうか。
辞めさえしなければ、またどこかで会える。
格闘技がまた出会わせてくれる。
そういう経験をたくさんします。
だからこの3月、退会届を書きにくる会員さんがいても『格闘技はやめないで欲しい』そう思います。またきっと出会えるから。
今年になって、疎遠になっていた人とまた話せるようになったりもしました。自分自身も辞めずに格闘技を続けて良かったと思います。
かりんちゃんが「YouTubeやってみませんか?」と言ってくれたことで、ちょもTubeをスタートすることができました。そして強い師匠でいたいな、それが今、練習することの原動力の一つとなっています。
再び出会ってくれてありがとうと伝えたいです。
私は格闘技が、その人たちの人生の彩りになったらいいなと思って指導しています。
私のクラスにでた人には「楽しかった!」って思ってもらえるように、退会届にめげずに努めたい、そんな3月でした。
この場をお借りして、Imaginaryイマジナリージム代表、秋山実さんのご冥福をお祈りします。また出会いたかったです。
これを読んでくれた皆さん、出会いに感謝です。

ご縁があり、お正月に初めてお会いした秋山さん。当たり前だけど足関節とりまくられて感動した。思い出をこれからも大事にします。

前澤智(まえさわ・とも)
リバーサルジム東京スタンドアウト所属