村井俊太「面白い試合をして負けるのはわだかまりが残る」
村井俊太「面白い試合をして負けるのはわだかまりが残る」
KIT10
2025年2月23日(日)、新百合21ホールで初の有観客大会を開催する「KIT10」。
今大会に出場する村井俊太(Evermove)は自らを「KIT生え抜き」と自称し、KIT初参戦以来、勝っても負けても名勝負を残す“名勝負製造マシーン”だ。
プロマッチだけに強豪との対戦が続く中、戦績的には2勝2敗のイーブンだが、勝ち負けを超越したインパクトのある試合ぶりに定評がある。
昨年末に開催された「JHOOD DEVILOCK MASTER CUP」でも階級別を優勝し、オープンクラスでも100kg級の相手に華麗なるムーブを見せて翻弄するなど、テクニシャンぶりを余すことなく発揮している。
そんな村井にこれまでのKITのこと、これからの試合のことなどを聞いた。
──KIT10出場選手インタビュー村井俊太選手です。よろしくお願いします。今回もKIT連続出場継続中です。最近のKITの中で思い出に残っている試合はありますか?
村井:最近のところで、平田孝士朗選手とやったところかな。あれが黒帯デビュー戦だったんで、もう最初からトップ中のトップとやるってことになって、どうなんだろうと思って。どうなるの?と思ってたんですけど、あの時は結構ボコボコにされまして。何気にあの試合も何もできなかった割には評価されているところもあったりとかして、でも勝ってないんでね。まあ直近で思い出に残っているKITっていったら、その試合かもしれないですね。
──けれども平田孝士朗選手との試合もゴールデンスコアに及ぶ大激闘で、最後の最後でスイープで敗退という形になってしまったんですが、そこでも平田選手のパスガードを凌ぎ切ったというところで評価されたんだと思います。
村井:そうですね、もう何度も言いますけど、やっぱ勝ってないんでね、こればかりは。なんか負けたのにいい試合だったねっていうのは、やっぱ評価されることは嬉しいことなんですよね。なんか選手としてはやっぱりちょっと今一つ喜べないところがあって。まあ多分ね、今の感じだと多分2回3回KITのルールで平田選手とやっても似たような結果になるんじゃないのかなっていうのはやっぱり改めて思っているんで、そういうところちょっと一個ずつ詰めていかないといけないなって思っています。
「KIT8」(2024年2月)
〇平田孝士朗 / CARPE DIEM JIYUGAOKA
vs
×村井俊太 / Evermove
ゴールデンスコア
──前回大会ではチャールズ・カスパーに勝利しました。あの試合についてお願いします。
村井:あれはちょっと僕がいい試合というか、面白い試合やらないといけないなっていうので、ちょっと肩の力が入りすぎてたのかなっていうのがありましたけど、素直にチャールズさんが強かったなっていうのがあって。マスター特有のアダルトとは違う試合の運び方の強弱じゃないですけど、最初からどんどんどんどんいくような平田さんだったりダニーロだったり、ずっと最初から一定のペースでパンパン勢いよくパスガードを狙っていくことが多かったんですけど、チャールズさんに至ってはしっかりまずベースを取って、組手を作って、狙えそうな時にいくっていう、マスター特有じゃないですけど、賢く戦うって言ったらちょっと上から目線なのかな、そういうようなところをやらせていただいて。自分の中で戦い方の引き出しとしてはちょっと増えたというか、経験できたのはすごくいいことだったかなって思いますし、スイープしてマウントまでいけた時も、ちょっと勝負を急ぎ過ぎちゃいましたね。本来僕はいつもマウントキープをしっかりして、相手の体力を削ってから極めるってことをやるんですけど、やっぱりちょっとスイープした勢いのまま、プロマッチだし一本で極めた方がかっこいいなみたいな、ちょっと浮き足出しちゃって、簡単にひっくり返されちゃったんで、ああいうところがちょっとまだまだ甘いなって思いました。
「KIT9」(2024年8月)
○村井俊太 / Evermove
vs
×チャールズ・ガスパー / BJJ CORE JAPAN
レフリー判定
──村井選手はKITのレギュラー選手で、試合経験的にはかなりKITルールの試合も慣れてきました。そして今回のKIT10、どういった試合をしたいとかありますか?
村井:有観客試合が初めてやるということで、KITの中で。僕自体もプロマッチで有観客試合なんてのはやったことないので、すごく楽しみにしてますし、なかなかアマチュア競技はそういうような舞台ってのはやっぱりそんな多くはないと思います。なので、僕としては多分面白い試合になるっていうのは、相手のパスガードだったりとか、そういうのが上手い人だったりとか、動きのある選手かな、動きのある選手とやることができたら、プロマッチとしてはすごく面白い試合を演出できるんじゃないのかなっていうのはすごく思ってますね。僕はめちゃくちゃ強い選手というわけでもないですし、めちゃくちゃ強い選手とか見たいんだったら、僕の階級で言ったら今回JBJJF全日本で優勝した福島(聖也)さんだったりとか、そういう選手をちょっとフォーカスしてくれればいいと思うんですけど、僕の試合っていうのは勝敗限らず面白いよって言ってくれるようなことが多いんで、そういうようなところを見せれればいいのかなってまずは思いますね。その中で、だけどやっぱり勝たないと自分的にちょっと気持ちよくないんで、さらに言えばまた負けたけどよかったねみたいなこと言われちゃうんで、そこを言われないように勝って面白い試合してっていうプロマッチを成功させれればいいかなと思ってます。
──本人のプライオリティ的には、しょっぱい試合をして勝つ、面白い試合をして負ける、どちらの方にプライオリティを置いてるんでしょうか?
村井:これはね、プロマッチというところにおいては後者かなって思ってますね。どうしてもやっぱり噛みつき(Wアンダー)とかを僕がされてて、ずっと膠着膠着で試合終了っていうので、なんだかんだで勝っちゃったみたいなのだと、やっぱりお客さんとしてもすごいこう、どうなんだというか。盛り上がってただけに世紀の凡戦みたいなのは、やっぱりね格闘技においては結構あることですし、僕自体お客さんの目線で見るとやっぱり面白くなかったりするんで、プロマッチという点においては派手に散ってしまったとしてもなんかすごい面白かったなって、あの試合が結構すごい印象に残ってるなみたいなのを僕は印象付けれればいいのかなって。ちゃんとした公式戦とかそういうJBJJF全日本とか、そういうのはまた別として、そういうちゃんとした大会というのはやっぱり地味でも勝たないとダメなんで、プロマッチという点ではこうしたかなって僕は思ってます。
──それではKIT10も面白い試合をして、そして勝つということでいいですか?
村井:勝たないとまた面白い試合したけど、昨日負けちゃったなみたいな僕の中でずっとわだかまりが残るんで、勝たせてもらいます…ってもまだ誰とやるのかわかんないですけどね。
──では試合に向けての意気込みお願いします。
村井:地方選手は結構増えてきたかなっていうのは思ってて、そういう選手たちは僕を含めてみんなで頑張っていければすごく嬉しいですし、僕も励みになってます。まあ北陸というところでは、ちょっとまだよく見る選手というのはいなくて、いま僕がちょっと北陸を引っ張るじゃないですけど、ちょっと背負ってやらせていただいてるんで、ここで僕の火種を消さないように、僕の次だったりとかが出てくるように、僕はしばらくちょっとここで頑張ってるんで、北陸の道場番長みたいなことやってるんで、皆さん応援よろしくお願いします。
昨年末に開催された「JHOOD DEVILOCK MASTER CUP」ではマスター1黒帯ライトで危なげなく優勝。
その後、オープンクラスにも出場し、1回戦で100kg級の相手に華麗なるムーブを見せて翻弄するなど、敗れてもなおテクニシャンぶりを余すことなく発揮した。
来るKIT10では誰と対戦するのか?! だが今回はいい試合をしつつも、極めて勝つ姿を期待したい。
プロ柔術 「KIT10」
日程:2025年2月23日(日)
会場:新百合21ホール
■オフィシャルサイトはコチラから!
【出場予定選手】
■塚田市太郎(フリー)
昨年11月よりフリーとなって心機一転の塚田がKITに継続参戦。「Mr.KIT」と言っても過言ではない塚田はKIT最多出場を誇る。
■村井俊太(Evermove)
「KIT生え抜き」という自負を持ち毎回激戦を見せる名勝負製造機的な村井はいまやKITに必須の選手だ。
■ソン・ウォンジェ(ビクターアカデミー)
韓国からの刺客、ソンはKITで3大会連続参戦中で3連勝、しかも全試合がフットロックによる一本勝ちで極めの強さは特筆モノだ。
■横山大鋳(スウェルズ柔術ジム)
KIT常連の横山は前回大会であと一歩のところねで賞金を逃すも、安定した試合ぶりで存在感を示した。文句なしの連続参戦決定だ。
■高橋俊彦(パラエストラ吉祥寺)
前回大会では急遽出場しアダルトにチャレンジも見事に玉砕。今大会は本来のマスターカテゴリーでのマッチメイクでの参戦になる。
■前澤智(リバーサルジム東京スタンドアウト)
女子でKIT最多出場を誇る前澤がKIT8以来の参戦が決定。しかも今回は黒帯として初のKITとなるだけに誰と対戦するのかにも注目だ。
■渡部修斗(ストライプル新百合ヶ丘)
前回大会ではプレリムで出場し、見事に一本勝ちした渡部が連続参戦し、本戦出場を果たす。グラップリングの強豪がギを着てのプロマッチ参戦は興味深いところだろう。
■坂東澄保(パラエストラ北九州)
長きに渡りKITの大会協賛していた「ばんどう歯科」の坂東。今大会では選手として満を持しての初参戦を果たす。
■岡澤弘太(CARPE DIEM MACHIDA)
幻の参戦となったKIT3から4年余を経過し、満を辞してのKIT初参戦の岡澤は今大会が行われる新百合ヶ丘と町田はすぐ近くなので、準・地元の選手だ。
■アナベラ・リンカ・ウォーカー(Leos Jiu Jitsu Academy)
過去2大会に出場して2連勝中のアナベラ。数々のプロマッチに出場中で、知名度&実力もメキメキ上昇中だ。
■正田皇輝(ストライプルオハナ)
前回大会の賞金トーナメントでは茶帯ながら黒帯を撃破し、JBJJF全日本でも優勝している正田がKIT連続参戦となる。
■北田俊亮(TRIBE TOKYO MMA NORTH)
かねてよりKIT参戦を熱望していた北田が満を持しての初参戦。極めの強さには定評があり得意とするギロチンのキレは圧巻だ。
■髙本奈月(TATORU)
過去のKITでは連勝していた髙本は黒帯としては初参戦。SJJIFワールド、JBJJF全日本、JHOOD CUPと連続優勝中で黒帯としての実績も申し分なしだ。
■伊藤義隆(ALMA FIGHT GUM LIFE)
今年はIBJJFアジア&JBJJF全日本を制し、大きく飛躍した伊藤がKIT6のプレリム以来、久しぶりの出場が決まった。