寝技マニアがわかりやすく解説!! 2大グラップリングイベント「ADCC」と「CJI」
寝技マニアがわかりやすく解説!! 2大グラップリングイベント「ADCC」と「CJI」
ADCC / CJI guide
現地時間2024年8月17日(土)と18日(日)、アメリカのネバダ州ラスベガスにて、ADCC(Abu Dhabi Combat Club)と、CJI(Craig Jones Invitational)という世界最大のグラップリングの大会が開催される。
Jiu Jitsu NERDでは、マニアックなグラップリング情報を配信する所プラスの足関節技師=dmaggot氏の執筆&監修のもと、2大イベントをビギナーの方にわかりやすく解説。
「両イベントの話題は聞くけど、詳しくは知らない」という方は特にオススメで、これを読めば、事前知識はバッチリ! イベント観戦が100倍楽しくなるガイドは、以下をチェックしてほしい!
はじめに ~ CJIってなに? 開催の経緯は?
1998年から開催され、現在は2年に一回行われているADCCに対し、CJIは今回が初の開催となる。
開催の経緯としては、これまでグラップリングでさまざまな実績を積み上げ、現在「B-Team」というグラップリングジムのボスであるクレイグ・ジョーンズが、ADCCの出場選手へのファイトマネーの支払いの少なさに異を唱えた。
そこでクレイグ自らがADCCを上回るファイトマネーを用意し、ADCCと同じラスベガスで同じ日に開催を当てたという流れである。
ファイトマネーと開催に必要な莫大な資金の源については公にはなっていないが、クレイグは、資金があることを証明するためにジョー・ローガンのポドキャストで札束の山を見せたことが有名になった(下記の動画を参照)。
また、クレイグが率いる「B-Team」は歴史的に、ゴードン・ライアンが率いていた、いわゆる「Danaher Death Squad(DDS)」と別れて設立された経緯があり、現在も両者は対立している。
そのため、クレイグ・ジョーンズが率いる「B-Team」に所属、もしくは親しい選手はCJIに。ゴードン・ライアンが現在いる「New Wave Jiu Jitsu」に所属、もしくは親しい選手はADCCに出場するという傾向がある。
●ADCCについて
ADCCは1998年から開催され、現在は2年に一回行われている最も権威のあるグラップリングの大会である。
●開催日
2024年8月17-18日
●開催地
アメリカ ネバダ州ラスベガス T-モバイル・アリーナ
●参加選手の選出方法
2年の間に行われる世界各地での予選の勝者と、ADCCからの招待がある。
現在発表されている選手の一覧はこちら。
しかし、CJIとの間で頻繁に選手の移動が行われているので今後さらに変わる可能性もある。また、CJIとの間で選手の引き抜きが激しく行われており、ADCCが有名選手を出場させるために特別にファイトマネーを払っているという噂があるが定かではない。
●階級
男子: -65.9kg、-76.9kg、-87.9kg、-98.9kg、+99kg、無差別級
女子: -55kg、-65kg、+65kg
今年から女子-55kgが追加された。また、前回まで女子は-60kgと+60kgの2つだったが-65kgと+65kgに変更された。
その他に、ADCCチャンピオンシップをかけたスーパーファイトが予定されている。ADCCチャンピオンシップは前回大会の無差別級で優勝した選手が挑むという形になっている。前回はアンドレ・ガルバオにゴードン・ライアンが挑戦し、ゴードン・ライアンが勝利したため現在のADCCチャンピオンはゴードンである。また、前回無差別級で優勝したのはユーリ・シモンエスのため、今年はゴードン・ライアン vs ユーリ・シモンエスとなる。
●ファイトマネー
公式HPの記載の通り、各階級の優勝者に基本的に$10,000で、1ドル150円とすると約150万円となる。4位までファイトマネーが与えられるが、4位までに入らなければ無しとなる。
●ルール
試合時間の半分はポイントなし、半分経過時点からポイントが入るサブミッションオンリーとポイント制の半々になる。
また、試合は仕切りのないマットの上で行われる。
●視聴方法
Flograpplingで視聴可能だ。料金は年間契約だと150ドルで、視聴のためには契約が必要となる。
●CJIについて
CJIについては初開催ということもあり、頻繁に情報が更新されている。そのため、以下の情報も最新では変わっている可能性があるので注意が必要だ。
●開催日
2024年8月16-17日
●開催地
アメリカ ネバダ州ラスベガス トーマス&マック・センターで、ADCCが行われるT-モバイル・アリーナからは約3.5km、車なら10分で着くところで行われる。
●参加選手の選出方法
CJIは予選などは行われておらず、全員CJIからの招待となる。日本のトップグラップラー・岩本健汰もCJI参戦が決まっている。
●階級
男子:-80kg、+80kg
ADCCに比べて階級は非常に少なく、男子の2階級のみである。そのため、ADCCの-77kgと+99kgの選手がCJIに移籍しがちとなっている。
また、女子の階級の開催はないが、女子のスーパーファイトが予定されている。
その他に、マイキー・ムスメシがスーパーファイトで参加予定であったがキャンセルされた。
また、さらにクレイグ・ジョーンズ vs ギャビ・ガルシアのスーパーファイトも行われる予定だ。2021年に両者は試合をするということで会見まで行ったが、実際に試合実施までは至らなかった。3年越しで今回とうとうこの試合が実現することとなった。
●ファイトマネー
CJIの選手へのファイトマネーは、参加者に$10,001、トーナメント優勝者には$100万が与えられる予定だ。
ADCCは階級の優勝者に基本的に$10,000であるため、ADCCで「優勝する」よりもCJIに「出た」ほうが少なくとも$1多く得られる、というわけだ。ADCCは優勝すること自体が非常に過酷であるため、CJIのほうが圧倒的にファイトマネーが得られやすい。
●ルール
まず、CJIは四方が坂のマットに囲まれた場所で行われる。これはKarate Combatというプロ格闘技で採用されていたもので、PITと呼ばれている。クレイグ・ジョーンズもそこでグラップリングの試合をしたことがある。
ADCCのルールでよく指摘されていたのが、試合場所に仕切りがないことだ。
場外に選手が吹っ飛んだりして、マット中央に戻されるも、場外での展開がうやむやになってポジションがなかったことになるということがあった。また、マットがないところで椅子や机、モニターに選手が突っ込んだりすることもあるため危険性があった。
しかし、CJIは今回このPITで試合を行うため、そのような危険性がなくなった。ある程度登ることも可能な勾配の坂であるため、この坂を利用したどのような動きがあるかも注目ポイントだ。
また、試合時間については5分3ラウンド、各ラウンドにスコアがつけられるというMMAのルールに似たものである。この試合形式は今までグラップリングにおいてなかったため、どのような試合展開が繰り広げられるかも注目だ。
しかし、CJIのルールについては公式HPなどから正式な説明がまだ見つからないため、今後変更される可能性がある。
●視聴方法
CJIはYouTubeで放送され、無料で観られる予定だ。
執筆&監修:@dmaggot666