"強いプロレスラー"鈴木槙吾、餓狼伝の境地は「殺す覚悟と殺される覚悟」
"強いプロレスラー"鈴木槙吾、餓狼伝の境地は「殺す覚悟と殺される覚悟」
餓狼伝: The Way of the Lone Wolf コラボインタビュー
5月に世界独占配信がスタートしたNetflixのオリジナルアニメ「餓狼伝: The Way of the Lone Wolf」が絶賛公開中である。
本作は、夢枕獏氏の格闘小説「餓狼伝」をベースに、"竹宮流"の使い手・藤巻十三を主人公に据えた物語で、藤巻の周りには、ボクシング、空手、相撲、プロレスなど様々な格闘技を極めた猛者が引き寄せられるように集い、強さを競う。
登場人物の一人である三船英志は、金網の帝王と呼ばれたプロレスラーであり、藤巻に「敬意を表する、プロレスというものに」とまで言わせた男だ。
真に強いプロレスラーと言えば、かつて、グレイシーハンターと呼ばれた桜庭和志が格闘技界で脚光を浴びたが、令和の"強いプロレスラー"と言えば、それはDEEPウェルター級王者・鈴木槙吾に他ならない。
元ウェルター級キング・オブ・パンクラシストでもあった鈴木は、MMAで王者に君臨したばかりか、バンデージのみを着用し、頭突きなども認められたラウェイルールでも戦っている。
プロレスでは空中殺法なども得意する鈴木は、リングやケージ、何でもありのラウェイルールまで分け隔てなく戦う、三船に最も近い男と言っても過言ではないのかもしれない。
そんな鈴木に「餓狼伝」を観てもらい、所感を尋ねた。
――7月14日(日)のDEEP後楽園大会でDEEPウェルター級タイトル防衛戦が決まっています。現在のコンディションや試合に向けた準備はいかがでしょうか?
鈴木:現在のコンディションは上々です。大きな怪我も無くこれているので、このまま試合に向けて調整していければと思います。と言っても、このキャリアでも当日にならないと自分の好不調はわからないのが正直な所ですけど(笑)
――相手は佐藤洋一郎選手です。改めて印象は?
鈴木:自分よりキャリアもあって、不思議なリズムを持った強い選手だと思ってます。
――さて、本日は「餓狼伝」のコラボインタビューです。そもそも「餓狼伝」は知っていましたか?
鈴木:「餓狼伝」は知らなかったです。今回このお話しを頂いて、全8話を見させて頂きましたが、餓狼伝といえば、昔あったアーケードゲームの「餓狼伝説」を真っ先に思い出しまして「何か関係あるのかな?」と思いましたが、テリーもアンディも「餓狼伝」には出てきませんでしたね(笑)
――そ、そうですね(苦笑)。では、「餓狼伝」の中で印象に残った場面や戦い、キャラクターはいましたか?
鈴木:プロレスラーの三船が出てきた時は注目しましたね。やっぱり僕はプロレス好きなので。
あと相撲も好きで元力士の龍王丸が出てきましたけど、主人公に負けてしまったのは残念でした…。僕はいまだに相撲取り最強幻想を持ってますので(笑)
――そうなのですね。龍王丸は八極拳を学ぶことで藤巻に対抗しましたが、そんな三船や龍王丸を観て、「自分だったらどう戦うか?」と考えたりはしましたか?
鈴木:普段からストリートファイトなんて想定してないので自分だったらどう戦うかは全く考えなかったです。
でも、もし実際に戦うとなったら、馬鹿正直に素手では戦わず、その場にある何かを武器にして戦うと思います。
でも、ストリートファイトについて考えれば考えるほど面白いなと思いました。戦うフィールドによって使える技術や戦術なんかも変わるわけですし、ストリートファイトにおいては最強の武術や競技は決まらないな、と思いました。
――先ほど挙げて頂いた通り、「餓狼伝」にはプロレスラーである三船も出てきます。プロレスラーであり、総合格闘技のチャンピオンであり、ラウェイも経験している鈴木選手は、現代における「強いプロレスラー」を体現しているわけですが、ご自身はプロレスラーという意識が強いのでしょうか?
鈴木:プロレスラーという意識が強いのか自分でもわかりませんが、「強いプロレスラー」を自分が体現していると見てる方が思って貰えるなら嬉しい限りです。そう思って貰える方が増えるように引き続き頑張りたいと思います!
――三船は、プロレス技だけでなく、色々な技術を取り入れて戦っています。鈴木選手の場合はどうでしょうか? 別モノとしてやっているのか、プロレスもMMAも分け隔てないと考えているのか。
鈴木:僕も色々な技術を取り入れて試合しています。サッカーや野球のような全然違うスポーツの練習をしたって、MMAやプロレスで使える身体の動きを学べると思っているので、日々の生活での何気ない事も競技に生かせると思ったら、その動きを覚えておいて練習で試したりしてます。
そしてプロレスとMMAは明確に別競技ですが、僕の中では分け隔ててないです。
僕の中では同じと言っても過言ではないくらいです。プロレスで得たモノをMMAで使いますし、MMAで得たモノをプロレスで使ってます。そして、どちらも自分に勝ち、相手に勝ち、お客様を楽しませるモノだと思ってます。
――その一方で、鈴木選手は、DEEPの王座戦に向け「試合は殺し合い」という言葉が飛び出しました。「餓狼伝」であれば、「武術とはいかに人を殺すか」という武宮流の教えもあります。それだけの覚悟を持ってリングやケージに臨むということですが、こうした境地にはどのように達するのでしょうか?
鈴木:自分は殺す覚悟と殺される覚悟を持って試合に挑んでます。絶対に勝てる自信があったのに負けたことが何度かあって、自分にはプラスのイメージだけで試合をしても良い結果に繋がらないんじゃないかと思いました。
――つまり、マイナス、負のイメージも必要であると?
鈴木:絶対に勝てる自信と、どんな相手でも絶対に勝てるなんて事は無い現実の同居として、殺す覚悟と殺される覚悟を持つようになったということですね。「試合は殺し合い」はその覚悟の表れと、観てるお客様にもわかりやすく伝わるモノとして発言しています。
観てるお客様に選手の気持ちが伝わる試合は、単に技術が高い試合よりもお客様を熱くさせると思っているので。次の試合もいつも通り、殺す覚悟と殺される覚悟を持って挑みます!
――次の防衛戦、期待しております。今日はありがとうございました。