[柔術道場経営者インタビュー]コロナ禍で参入決意? カルペディエム深川・佐藤オーナーに訊く - 後編
[柔術道場経営者インタビュー]コロナ禍で参入決意? カルペディエム深川・佐藤オーナーに訊く - 後編
CARPE DIEM FUKAGAWA
ブラジリアン柔術道場の経営者インタビューシリーズ後編。今回ご登場いただいたのは、今春オープンから約1年で会員が100名を超える下町の人気道場となった「カルペディエム深川」の佐藤樹祥オーナーだ。
運営母体となっているのは、佐藤オーナーが社長を務めるイベント用品の製作&レンタルを手掛ける株式会社アキザトだが、コロナ禍によってイベント業が大打撃を受ける中、佐藤オーナーはなぜ柔術道場の経営に乗り出したのか。
その背景には、経営者としてのきゅう覚が働いたことはもちろん、自身が柔術の魅力や可能性を肌感覚で理解しているという強みがあった。
<インタビュー前半はコチラ>
――昨今、柔術道場をやりたくても、インストラクター探しに苦戦するという話は度々耳にします。黒帯や茶帯を巻き、指導ができて接客もできて、強さを伴っていると尚良し...。ですが、そんな人材が簡単に見つかるはずがありません(苦笑)
佐藤:一般的な求人情報サイトに載せるには、特殊すぎるのが柔術の先生ですよね。
石川(祐樹)先生のラジオやSNSで発信いただいたり、いろんな方にご協力いただきましたが、なかなか見つからず。そんな時、最終手段として柔術界に顔が広い橋本欽也さんに相談しました。
食事しながら相談したのですが、「シュシャ知ってます?」と。「え? あのホブソン・タンノ選手ですか?」と聞き返しましたが、もちろん知っていました。
私はカルペディエム芦屋代表の岩崎先生が三田で指導されている時に、プライベートレッスンを受けていました。尊敬する岩崎先生。その岩崎先生と全日本で戦っていた有名選手がホブソン・タンノ選手でした。
――そうでした。佐藤さんは、岩崎正寛さんから直接イロハを叩きこまれたハーフガーダ―でしたね!そんな岩崎さんと戦っていたのが、シュシャさんでした。
佐藤:そのシュシャ先生は、今は柔術のインストラクターをやめて、群馬で解体工場で働いていると。「今から電話して聞いてみます?」と。「あの有名選手にいきなり電話ですか?」とビックリしましたが、欽也さんの行動力はすごいです。
会ってみると、シュシャ先生は陽気だけど、真面目で情熱がある方でした。シュシャ先生も即決採用でした。我ながら運を持っている。欽也さんには本当に感謝しています。
――シュシャさんは真面目で情熱がある。これは試合会場で会員さんのセコンドをしている姿を見た時にすぐ分かりました。本気で声援をおくり、本気で喜び、本気で悔しがっている。本当に素晴らしい先生だなと。
佐藤:そうなんです。そして、代表に石川先生、メインインストラクターにシュシャ先生、サブインストラクターで事務仕事やSNSを担当している服部先生、土曜日の担当で本部青山からの助っ人インストラクターである飛鳥先生。経営は私が社長をしているアキザト。ようやく骨組みが決まりました。
――お世辞抜きで、バランスの良い布陣ですね。さりげなく、現紫帯のトップ選手の一人・時任飛鳥さんも指導に入っていますが、そのような状況でオープンから1年が経ちました。現在の状況や手応えはいかがですか?
佐藤:お陰様で会員さんはもうすぐ120名になろうかというところです。
厳しめに事業計画を立てていたこともあり、当初の予想以上に順調にきています。
スタッフが頑張ってくれています。そして、ひとクラスに参加する会員さんが増えてきたことから夜のクラス数を増設し、さらに出勤前に柔術をする需要を考え、9月から朝クラスを始めます。
その為に新たにスタッフを迎え入れることになりました。ビクトル・ロドリゲス選手です。まだ22歳と若いですが、しっかりしていて、とても好青年です。彼が加わることで道場がさらに進化できると確信しています。とても楽しみです。
――このタイミングでサービスを充実させる。つまりは攻めに転じるわけですね。ただ、人件費もかけていると思いますのでズバリ聞いてしまいますが、採算的にはどうでしょうか?
佐藤:今でちょうど月ベースでトントンまで持ってきました。ここから会員さんが増えれば月ベースの黒字になります。
しかしながら、これまでの累計赤字と内装費などの初期投資を回収しきったところが本当の意味での黒字化。そこまでいくには10年近くかかります。
――なるほど。そうなのですね。
佐藤:ただし、これは全然アリです。当初、別事業で無人のコインランドリー経営の話を検討したんです。FC店としてやっていくのですが、予算は5000万円です。そして、回収までには、場所にもよりますが15~20年かかるそうです。
――コインランドリーは予算5000万で回収に15~20年ですか!? 道場経営同様、楽なものなんてないですよね。
佐藤:そうですね。とても高価な自販機を買うようなもので、無人で放っておけばいいとのことですが、正直つまらないなと感じました。
利回りを考えた時、道場はコインランドリーより良いのと、何しろ好きな柔術が仕事になるのですから、手がかかっていても楽しいです。同じ予算をかけるなら、深川道場を始めて良かったと思います。
――大変かもしれませんが、柔術は人生を豊かにしてくれるツールでもありますから、とてもよいご選択であったと思います。では、実際の道場経営で佐藤さんが大切にしていることはなんでしょうか?
佐藤:これはアキザトでも同じなんですが、まずはスタッフがいないと成り立ちません。「天の時、地の利、人の和」なんて言いますが、やはり大切なのは人の和。何かの縁でせっかく一緒に働くことになったのですから、楽しくやるに越したことはない。
スタッフにストレスは最小限に。それでいて、しっかりと生活ができて、家族や趣味を楽しむ。これが理想ですね。アキザトや深川道場で働くスタッフには、それぞれの形で幸せになってもらえたら最高です。
ですから、マメにスタッフの私生活の困り事は聞いて、求められるなら一緒に解決します。大企業ではない、下町の小さい会社のやり方です。
――素晴らしい会社です。では、経営のプロである佐藤さんが、柔術道場の経営から学んだことなんてあるでしょうか?
佐藤:社長業は18年目ですが、まだまだ紫帯くらい。道場経営は初心者ですから、白帯ストライプ1くらいなのですが、本業と基本的に変わらないと感じています。
――さすがに、白帯ストライプ1ってことはないと思います。柔術ですと、総合格闘技やレスリング経験者は白帯で試合には出れませんので...(笑)
佐藤:自分がユーザーだったら、アキザトにイベント商品を注文するか、深川道場の会員でいるかを意識しています。
それと今いる顧客、会員さんを大切にしたいです。新規入会も大切ですが、今いる会員さんを退会させないことはもっと大切。綺麗な道場を保ったり、ちゃんと時間通りにクラスが始まるなど、当たり前のことを当たり前にすることが大切ですね。
それと道場の集客は、チラシ撒くよりも、SNSだったり口コミだったりで、今の会員さんが充実していることを周囲に広めてくれることだと思います。
会員さんを大切にしたいなら、まずはスタッフを大切にする。スタッフがやらされ仕事でイヤイヤやっていると、それが会員さんにも伝わります。逆にスタッフがストレスなく楽しんで仕事をしていると、一生懸命になり、会員さんにも良いサービスを提供できる、そう思っています。
――ちなみに、運営母体であるアキザトでも、柔術のイベントで表彰台や本部席の背後にあるバナーを作っていたりしますね。今後、本業でも柔術関連サービスなどを手厚くしていこうと考えたりしますか?
佐藤:そうですね。欽也さんの媒体で、出演している背景のバナーはアキザトで製作させていただきました。
あとは、あるとすれば、バレーボールにキャラクターがいるように、柔術にも「柔術くん」みたいなキャラクターができるといったことがあれば、エアー着ぐるみやエアー造形物は製作できます。
――大会マスコットキャラクターの着ぐるみですか!キッズ向けの大会や体験会などに良いですね。
佐藤:何かお手伝いできるようなことがあれば、お問い合わせください。
実は深川道場を実験台として、色々やろうとはしています。例えば、打ち込み用のマットとか。よく車のディーラーにあるような、商談中にお子さんが遊べるようなウレタンの囲いがありますよね。キッズスペース的な。それを製作するノウハウはありますので、ちょっとアレンジすれば打ち込みマットなども作れます。
――試合会場が体育館で、固いフロアの上でアップをしなければならない場合などにも有効ですよね。
佐藤:あとは、キッズ会員がいますので帯授与式をバルーンで装飾したり、レクリエーションでカキ氷機やポップコーンマシン、スーパーボールすくいなど、ちょっとした縁日もできます。
本業の商品で柔術道場に使えるものはないか、深川道場で実験して反応を見ながら商品化するのはアリだと思います。新しい可能性を模索する為にも異業種をやって身を置いてみるのは良いことだと感じております。
――可能性が広がりますね。では、最後になりましたが、アキザトの宣伝や告知などあれば、お願い致します。
佐藤:インタビューの中でも触れていただきましたが、アキザトは全国のイベント代理店に卸で商品を提供する会社です。国体、町のお祭り、スポーツイベントにも商品を提供しています。
例えばマラソン大会などのスタートゴールのエアーアーチや、フワフワと呼ばれる、子どもが中に入って遊ぶエアー遊具を地方ゆるキャラで製作したり。
それと、私企業の集客商品です。家電量販店や携帯ショップでクジがパタパタ舞っているのをご覧になったことがあると思いますが、あのようなエアー抽選機もオリジナルで作っています。
それとテレビ朝日のミュージックステーションなどの音楽番組で演者さんが歌うバックの風船装飾なども現場仕事で承っています。これはほんの一例で、イベント関連の商品を主に扱っていますので、柔術大会主催者様や、全国の柔術道場様の集客や盛り上げなど、ぜひご相談ください。
――本日はありがとうございました。深川道場との更なる発展を期待しております。
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