【メディアディレクターコラム】 第2回 デラヒーバとは?
【メディアディレクターコラム】 第2回 デラヒーバとは?
Column
ここ数日、にわかにSNSで眼にするようになったデラヒーバ。
そう、最近X(旧Twitter)を始められた、あのお方のせいである。
柔術やってる側からするとデラヒーバというワードは普通に知ってるが(逆に知らなかったらヤバいレベル)、一般の方からしたら「何ソレ?」だろう。
今回はこのデラヒーバを説明してみたい。
デラヒーバとは柔術のテクニックの名前で、正式名称は「デラヒーバガード」というガードポジションの一種類。
このガードポジション(下になってる状態をガードポジションという)で、相手の膝裏に自分の足の甲を引っ掛けている状態が「デラヒーバガード」で、略してデラヒーバという。
これをやられた側は足を自由に動かせにくくなり、逆にした側はフックの他に襟や袖、踵などを持つとほぼ相手をコントロールできるという優れたガードポジションであり、柔術やってる人ならば常識的なテクニックだ。
そしてこのデラヒーバのネーミングの語源は、このテクニックを開発した柔術家の名前で、ヒカルド・デラヒーバという。
ヒカルド・デラヒーバが開発し、得意としていたから、その名を冠してデラヒーバガード。
単純明快である。
稀にデラヒーバのことを「デラヒーバー」と伸ばしてるのを散見するがヒカルド・デラヒーバの「デラヒーバ」なのでデラヒーバが正しい表記。
練習や試合でデラヒーバが膝裏に足の甲を引っ掛けると「ああ、またデラヒーバがアレやってるぞ」となり、その後に「デラヒーバがよくやるアレ」のアレ=デラヒーバになっていった、と想像できる。
またこのデラヒーバのオリジネィターのヒカルド・デラヒーバは伝説的な柔術家で、主に80年代~90年代に活躍し、現役時代にはグレイシー柔術創始者一家であるグレイシー ファミリーからも勝利している実力者だったというのは有名な話。
ヒカルド・デラヒーバ vs ヘンゾ・グレイシー、1993年の試合動画
かの有名なホイラー・グレイシー やホイス・グレイシー 、ヘンゾ・グレイシー にも勝っている偉大な選手で、さらに2002年には30代半ばにして突如現役復帰して、ムンジアル=ブラジリアン柔術の世界大会に出て3位になるという偉業も成し遂げた。
ブラジル・リオデジャネイロのコパカバーナに本部ジムがあり、世界中に支部を持っていて、この日本にもデラヒーバジャパンという支部がある。
そして門下生にはかつてPRIDEで活躍した、“ミノタウロ”こと、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラがおり、日本ではJBJJFの重鎮・浜島邦明氏もデラヒーバから黒帯を授与されている人物だ。
さらにデラヒーバ自身によるデラヒーバの教則DVDも発売されており、その技の受け手は私=橋本欽也である。
DVD「ザ・マスター ・オブ柔術2 ヒカルド・デラヒーバ」
2008年発売のこのDVDでデラヒーバの技の受け手をやっているのは青帯時代の若き橋本欽也だ。
この他にもデラヒーバに関するエピソードは枚挙にいとまがないが、とりあえずデラヒーバとはこんなテクニックで、その語源は?というのを簡単に説明させて頂いた。
あのお方のちょっとしたつぶやきで眼に止まったデラヒーバに、こんな歴史がある、というのをこの機会に知ってもらえたら幸いだ。